本田圭佑「虚像と実像」(11)中学時代に受けた“クビ通告”
「残念だけど圭佑はユースには昇格できない」
島田はそう告げた後、元日本代表MF中村俊輔(現横浜F・マリノス)の話を聞かせた。
中村俊は横浜F・マリノスのジュニアユースからユースに昇格できず、桐光学園高に進学。全国高校選手権で活躍して、横浜のトップとプロ契約を交わした。ユースに上がれなかった屈辱をバネに切磋琢磨(せつさたくま)、見事にリベンジを果たしていた。
「俊輔は、別の道を歩んでからトップに返り咲いた。圭佑にもそうなって欲しいということを伝えました。でも、本人は表情も変えずに無言で聞いていた。他に掛ける言葉もないし、『行きたい高校があったら自分で探してこい』。そう言うしかなかった」(島田)
本田はうつむきながら部屋を出た。
「何でオレが上がれへんのや! おかしいやろ。何でや!」
■中堅校の星稜を選んだワケ
周囲に愚痴を言いながらも、「進路は二者択一しかない」ことを自覚していた。
サッカー名門校に進学してレギュラーを奪い取り、Jリーグ関係者の目に留まるチャンスを狙うか。もしくは、中村俊のように中堅校に入ってチームの主軸選手として名前を売っていくか。