本田圭佑「虚像と実像」(7)“オレ様”スタイルに磨きをかける

公開日: 更新日:

「一番のヘタクソ」が白い目を無視して作り上げたスタイル

 関西のエリート集団「ガンバ大阪ジュニアユース」の中で本田の立ち位置は、そもそも下から数えた方が早かった。それどころか、「ウチで一番ヘタクソなんは誰や?」という話題になると名前が挙がることも珍しくなかった。

 プロ予備軍のジュニアユースで「ヘタクソ」は致命的である。中学生年代のメンタルは、今も昔も、もろくてはかない。深く悩み、傷ついた本田だが、監督やコーチに向かって「どうすれば上手になれるんや?」と涙ながらに聞いて回るということは一切なかった。

 むしろ悲愴(ひそう)感もなく、自信満々だった。急激な体の成長によって肉体と精神のバランスを崩す「クラムジー」の影響で、動きたくても動けない。その中で出来ることを懸命に探した。

「走れないなりにパスの精度、キックの正確性を高めればいい。オレの蹴ったボールでチームメートを動かせばいい」

 コーチから「運動量が少な過ぎる」と叱責されようが、本田は「パサー」に執着した。パスを出し、指示を送る。その場でふんぞり返り、オレ様然として悦に入る。当然、試合にはほとんど出られない。それでも本田は意に介さなかった。周囲の冷たい視線を無視しながらキックのバリエーションを増やす。ボールを止めてキックするまでのアイデアを考え、ボールをキープする球際の厳しさに磨きをかけた。確固たる《本田スタイル》を築き上げ、「一日でも早く世界で活躍したい」という気持ちも固めた。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  2. 2

    周囲にバカにされても…アンガールズ山根が無理にテレビに出たがらない理由

  3. 3

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  4. 4

    田中圭が『悪者』で永野芽郁“二股不倫”騒動はおしまいか? 家族を裏切った重い代償

  5. 5

    中森明菜が16年ぶりライブ復活! “昭和最高の歌姫”がSNSに飛び交う「別人説」を一蹴する日

  1. 6

    永野芽郁「二股不倫報道」の波紋…ベッキー&唐田えりかと同じ道をたどってしまうのか?

  2. 7

    レベル、人気の低下著しい国内男子ツアーの情けなさ…注目の前澤杯で女子プロの引き立て役に

  3. 8

    芳根京子《昭和新婚ラブコメ》はトップクラスの高評価!「話題性」「考察」なしの“スローなドラマ”が人気の背景

  4. 9

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  5. 10

    大阪万博会場は緊急避難時にパニック必至! 致命的デザイン欠陥で露呈した危機管理の脆弱さ