2試合で限界明らか…初W杯の“重圧”に屈したザック監督
ギリシャ戦に1トップで先発したFW大迫勇也に代え、FW香川真司を投入した指揮官は、左サイドでプレーしていたFW岡崎慎司を1トップに配置転換した。岡崎がザック体制で決めた21ゴールは、すべてサイドから相手ゴールに突進して決めたもの。13年2月のラトビア戦、6月のブラジル戦で1トップを試されたが、いずれも失敗に終わり、指揮官は「彼のベストポジションは2列目だ」と断言していた。ならば、どうしてW杯の大一番で1トップ不適格者の岡崎を相手ゴール前に置いたのか?
理解に苦しむと言えば、GL2試合の終盤に見せた身長189センチCB吉田麻也への「パワープレー指令」もそうだ。そもそもザッケローニは「日本に空中戦の文化がなく、空中戦の成功体験もない」というのが持論である。実際、身長194センチのFWハーフナー・マイク、同185センチのFW豊田陽平を外し、ジョーカーとして同169センチのドリブラー・FW斉藤学を代表入りさせた。しかし、2試合とも終盤になると吉田を相手ゴール前に置き、ベンチ前で「吉田の頭を狙え!」と大声を張り上げた。
「W杯の経験がなく、勝負師としての能力に欠ける監督が大舞台でパニックに陥り、理解不能の選手起用と采配で選手から不信感を持たれている。これが今の日本代表です。ザッケローニは温厚で実直。日本文化を尊重し、日本人をリスペクトしている。人間としては合格点なのですが、W杯で勝てる監督ではなかった。日本サッカー協会は今後、代表監督を選考するに当たってザッケローニの失敗をシビアに検証し、W杯本大会で<勝てる>指揮官を選ぶことが求められます」(現地で取材中のサッカージャーナリスト・六川亨氏)