「日本人なぜ出ない」釜本氏が外国人一辺倒の監督選びに異論
大前提として「外国人指導者の中から候補者を選んで探そう」というのが、技術委員会の考えだからだ。
■日本人S級指導者は400人超もいる
ここで異を唱えさせていただく。現在、日本国内に代表監督を務めることが出来る指導者ライセンスの最高位「S級ライセンス」保持者は、すでに400人を優に超えている。この中で日本代表監督としてW杯で指揮を執った日本人は1人しかいない。98年仏W杯と10年南アW杯に出場した岡田武史氏(57)である。
岡田氏以外の日本人S級指導者は、私も含めて誰もW杯を経験していないのだから、技術委員会が監督選びの際に「世界の修羅場を経験した指導者」の中から選ぼうとしているのなら、確かに日本人の名前を俎上(そじょう)に載せづらいだろう。
ジーコの名前を挙げさせてもらう。彼にとって、日本代表監督が、実質的に初めての指導歴だった。ザッケローニの母国イタリアでの輝かしい略歴は、すべてクラブ単位のもの。代表チームを率いるのは日本が初めてだった。さらに言うならばジーコもザッケローニもW杯の大舞台の雰囲気にのまれて平常心を失ったのか、選手起用や試合中の采配で浮足立ち、2人とも1分け2敗の成績で1次リーグ敗退の憂き目に遭っている――。