ブラジル屈辱7失点の原因は…「ミネイロンの惨劇」レビュー
逆にドイツは沈着冷静だった。キックオフと同時に目を三角にして攻め入るブラジルを巧妙にいなし、セットプレーのチャンスを確実にモノにした。ドイツサッカー協会公認S級指導者の鈴木良平氏が言う。
「先制点が決まった右CKは、ドイツが得意とする得点パターン。ゴールを決めたミュラーは、まずPA内で一番ニア寄りにポジショニング。ボールが蹴られた瞬間、他選手が一斉にニアに走り込む中、一人だけファーサイドに移動した。ブラジル選手は、ニアに向かって走った選手につられてしまい、ミュラーは完全フリーでシュートを打つことが出来たのです。2点目以降は、ドイツのクレバーさが光りました。ブラジルのボランチがボールをロストすると、CBがカバーのために前に出ざるを得ません。ドイツはそれを見逃さず、ブラジルCBが出たことで生まれたスペースに走り込み、選手を余らせながらボールをワンタッチでリズミカルに回し、守備網を切り裂いたのです」
■「カナリアイエロー」を捨てる可能性
W杯の準決勝で「6点差」決着は史上初めて。前半23分から6分間で4失点も、前代未聞だった。ブラジルは3位決定戦で失点すれば、1大会最多失点の不名誉な記録も更新する。同国の7失点以上は、1934年に国際親善試合でユーゴスラビアに4-8で敗れて以来2度目、ホームでは初めてだ。