PRP療法の専門家指摘 「田中投手は完治したわけではない」
今季中の実戦復帰は果たしたが、依然として不安はぬぐい去れない。右肘靭帯を部分断裂したヤンキース・田中将大(25)には、今もトミー・ジョン手術(腱の再建手術)の可能性がささやかれているからだ。
今後の田中について、ジラルディ監督は「もう一度、痛みが出たら手術することになる」と繰り返し、1年以上を棒に振ってでも完治を優先させる方針だという。
田中がチームドクターの指示で選択したのはPRP(多血小板血漿療法)といわれる再生治療だ。患部の血液を採取し、血小板から取り出した高濃度の成長因子を注射して自然治癒能力を促進させるものだ。
ここ数年、メジャーでは肘にメスを入れるのを避けるため、トミー・ジョン手術を受ける前に、この治療法を選択するケースが増えているという。
田中は7月14日にニューヨーク市内でPRP注射をうけた。その後は治療とリハビリの甲斐もあり、順調に回復。約2カ月で戦列復帰を果たしたが、それでもまだ肘は万全とはいえないのか。
「メジャーのマウンドに復帰したわけですから、患部が治って痛みはないと見るのが一般的でしょう」とPRP療法に詳しい筑波大学医学医療系(整形外科)スポーツ医学講師の金森章浩医師がこう続ける。