冨田のカメラ泥棒ではっきりした日本スポーツ界の深刻腐敗
一選手の盗難事件と看過するべきではない
「カメラを見た瞬間、欲しくなった」
アジア大会が行われている韓国で、同国メディアのカメラを盗んだ競泳男子の冨田尚弥(25)は警察の事情聴取でこう供述した。
欲しいから盗んだというのでは、アメ玉欲しさに万引する分別つかない子供と一緒。善悪の判断もできない愚か者だ。もちろん、スポーツ界はこんな輩ばかりではないが、たかだか、1人の愚かな選手が起こした盗難事件と看過するわけにはいかない。
■「勝てば何も言われない」と開き直る選手も
昨年一年を振り返っても、日本ハム二軍マネジャーだった宮本賢(30)は強姦容疑、元Jリーガーの後藤純二(43)は覚醒剤取締法違反容疑、サッカー元日本代表の前園真聖(40)は暴行容疑、同じく奥大介(38)は夫人への脅迫で、それぞれ逮捕された。
「プロに進んだり、日本代表になったりする選手は勝てば官軍、子供のころから勝利至上主義で育てられてきた連中がほとんどです。結果を出せば何をやっても許されると思っている。バレたって周りがモミ消してくれるくらいに考えているのでしょう」と、作家の吉川潮氏がこう言った。
「親御さんや指導者には人として最低限のモラルや、生きていくうえで不可欠な常識くらいは教えてもらいたいけど、それをしない。例えば高校野球の不祥事がなくならないのは、指導者が見て見ぬフリをしているからです。本当に厳しくしてしまったら、いい選手はメンバーに入れず、甲子園で勝てなくなってしまう。ダメなことはダメだと指摘すべきスポーツメディアも結果がすべてで、二十歳前から天才とか言って甘やかし、持ち上げている。これでは選手もおかしくなりますよ。欲しいから取ったというのでは、気持ちいいから覚醒剤をやったという芸能人と一緒じゃないですか」
男子柔道73キロ級エースの大野将平(22)は昨年9月、天理大柔道部で発覚した暴力事件の加害者のひとり。ところが、8月の世界選手権前に日刊ゲンダイ記者が直撃すると、「あれ(暴力事件)は周りが騒いだだけ。もう済んだこと。この世界は結局勝てば文句言われないんですよ」と開き直った。
スポーツ界に犯罪者やその“予備軍”がゴロゴロしているのは、それなりの理由があるのだ。