ロッテドラ2京大・田中 「体操で五輪の夢」閉ざした父の一言
兵庫県の工業都市のひとつである高砂市。瀬戸内海に注ぐ加古川の河口周辺には大手企業の工場が所狭しと連なる。そんな工業地帯から県道43号を車で数十分北上した住宅地の一角で長男の田中は育った。
95年に新築した木造2階建て4LDKには現在、広島大に通う次男・健太さん(18)を除く父・克則さん(52)、母・昌美さん(46)、県立高校に通う妹・佑実さん(17)が暮らす。
「(92年に)英祐が生まれた当初はお父さん(克則さん)の勤める会社の社宅に住んでいました。お父さんの会社に近いこともあって95年にここに家を建てたんです」
優しくほほ笑みながらこう語る昌美さん。夫婦の出会いは2人の職場だった。88年、高知出身の克則さんは土佐高校、京大、同大学院を経て、三菱重工(現三菱日立パワーシステムズ)に入社。高砂市内にある工場で火力発電に使われる蒸気、ガスタービンの設計、開発に携わるエンジニアとして勤務した。翌年、武庫川短大を卒業した昌美さんが入社し、庶務課に配属された。
部署は違えど2人は社内で顔を合わせるうちに交際がスタート。91年に結婚。昌美さんが同年3月に退社して専業主婦になると、92年4月に待望の長男を授かった。