広島カープだから打てた「プロ11年目の初本塁打」
セの首位を走る広島の25日の試合をテレビで見ていたら、七回に捕手の白浜裕太(28)が本塁打を打った。「プロ11年目で初本塁打です」という解説を聞いて、何ともカープらしいなと思った。
03年のドラフト1巡目。広島・広陵高時代は巨人の西村健太朗とバッテリーを組み、センバツで優勝した。もっとも、2人の野球人生は対照的で、西村が巨人のストッパーとして活躍する一方、白浜は昨年まで一軍出場49試合で年俸750万円。いくら「ドラ1」とはいえ、巨人に入っていたら果たして今もユニホームを着ていたかどうか。
白浜が控え選手でありながら11年も現役をやれているのは、捕手ということもあるだろう。「ダンプ」の愛称で呼ばれた辻恭彦は、控え捕手として22年間の現役生活を送り、毎年少しずつ昇給していたそうだ。66年の阪神入団時は年俸120万円で、プロ19年目に晴れて1000万円を突破。今は中日の小田幸平が同じく控え一筋でプロ17年目を迎えている。
広島という球団の性格もあると思う。球界では「広島には年俸3億円以上は払えないという不文律がある」という話を聞く。選手会が先日発表した日本人選手の平均年俸は12球団中11位(2679万円)。給料は高くないけれど、戦力外にした選手の多くを、コーチやスタッフとして雇っている。引退後の受け皿をつくっている印象がある。