<第6回>モンゴル人力士が頭を抱える物価のギャップ
出稼ぎが目的のモンゴル人力士が多いとはいえ、入門した直後から家族に仕送りをする者は少ない。
「僕は15歳で日本に来た。15歳で家族に仕送りする人なんていますか?」とは、前出の元モンゴル人力士の弁だ。月給が発生する十両以上になってから仕送りをするケースが多いようだ。
相撲部屋にいればメシはタダとはいえ、一銭も使わずに暮らせるわけではない。幕下以下がもらう2カ月に1度の本場所手当からはまず、税金が引かれる。さらに部屋から積立金が徴収される。積立金の使い道は主に部屋ごとの旅行資金だ。
2カ月に1度の本場所手当が15万円の幕下なら11万円、7万円の序ノ口なら5万円も手元に残ればいい方だ。
ここからシャンプーやせっけん、歯ブラシといった日用品を購入しなきゃならない。さらにケガをした時のサポーターやテーピングのテープも、基本的に個人個人で用意する。マゲに塗る鬢付け油も力士持ち。こちらは数人でカネを出し合って共有するケースもある。
これではモンゴル人でなくとも、カネに困るのは当然だ。(つづく)