巨人戦でプロ初サヨナラ弾 楽天・中川は“元クビ切り要員”
「バッティングカウントだったので。真っすぐ一本に絞って思い切り振りました」
31日の巨人戦。プロ7年目で初のサヨナラ弾を放ったヒーローは興奮気味にこう語った。
3-3の同点で迎えた延長十回だった。先頭打者で打席に入り、マシソンの152キロの直球をフルスイング。打球が地元ファンで埋まる左翼席に突き刺さると、一塁ベースを回ったところで右拳を高々と挙げた。
愛知・桜丘高から08年のドラフト2位で入団。当初は、当時の野村克也監督から「ボールを飛ばす力がある。ウチの大砲になれる」と太鼓判を押されていた。が、186センチ、92キロという恵まれた体格を生かせず、1年目は二軍暮らし。パワーがあってもバットにボールが当たらないため、一軍での出場機会は与えられなかった。
当時の二軍内野守備コーチだった福原峰夫氏が言う。
「変化球にはもろかったが、飛距離は飛び抜けているし、チャンスでは意外性のある打撃をする。素材はピカイチでした。そのころは4番を打ち、三塁を守っていた。球団から楽天を背負う選手にしたいと、大いに期待されていた。でも、甲子園の常連校でもまれた選手ではないので、一球の怖さを知らない。守備では捕球や送球のミスも多く、二軍でじっくり育成することになったのです」