移籍即スタメンで大活躍 日ハム矢野に巨人の“ドン”歯ぎしり
日本ハムにトレードされた矢野謙次(34)は、巨人最高顧問・渡辺恒雄氏(89)の大のお気に入りだった。
きっかけは、07年のソフトバンク戦で放った代打逆転満塁本塁打。たまたまその試合を観戦していた渡辺最高顧問(当時球団会長)が「あの一発は1000万円以上の価値がある!」と興奮しながら絶賛すると、オフの年俸更改で本当に2000万円も給料がアップした。この年の矢野の成績は自己最多タイの103試合に出場し、打率.291、7本塁打、29打点。予想以上の大幅アップは、チーム内でも「ナベツネ査定」と話題になった。7本塁打のうち、4本が代打本塁打という勝負強さが、ドンの頭に強烈な印象となって刷り込まれたのだ。
「その後、故障に泣かされてレギュラー獲得までは至らなかったにもかかわらず、2年後の09年に発売された一般誌の巨人特集号のインタビューで最高顧問はわざわざ矢野の名前を挙げた。坂本とともに、『第2の松井、第2の長嶋になれる。スーパースターの要素がある』とまで言ったから驚きました。思うように出場機会に恵まれず、これまでに何度も他球団からトレードの打診がありながら、球団が放出に踏み切れなかったのは、矢野を評価する最高顧問の顔色をうかがって二の足を踏んだからといわれるほどでした」(巨人関係者)
その矢野が新天地に移り、「6番・DH」で初のスタメン出場を果たした12日のDeNA戦で、いきなり3本の二塁打を放って札幌のファンの歓声を浴びた。3本目はチームのサヨナラ勝ちを演出する貴重な一打。持ち前の勝負強さを見事に発揮した矢野に“ドン”は複雑だろう。