ライバルが一番大事 遠藤は出稽古に行かなきゃ
先代は言葉が少なかったけど、毎日いた。今日は台風だなって日でも、いた。普通に座ってたよ。それだけで俺たちは心臓が痛かった(笑い)。
現役でやってた頃、あまり分からなかったけど、それがよかったんだ。先代は座ってるだけで稽古場の雰囲気をつくってた。いるかいないかで、緊張感が違うんだ。朝、稽古場への階段を下りてくるのが分かって、カラカラッと戸が開くと、皆のため息が漏れるような感じだった(笑い)。一気に空気が重くなって、俺、もうちょっとゆっくり来てもいいんじゃない? とか思ってた(笑い)。
それでも、この緊張感がいいんだ、って引退する前から感じてたよ。そういう師匠の部屋に入ることができてよかった、幸せだったと思ってる。厳しいって言われてたけど、そうでもないよ」
こう聞くと自分が指導者になった今、先代のようにしているのだろう、と思うが、違った。
「これは何年前の話? 時代が違うんだから、今の子供と一緒にしちゃダメ。今あんなことしたら、みんな辞めちゃうよ(笑い)。アレンジしないとダメだ」