権藤氏が苦言 「ストライクゾーンの変化がセの大混戦招いた」
野球における審判は、試合のプロデューサーであり、演出家である。
特に球審は、ストライクゾーンを広げたり、狭めたりすることで、試合を投手戦にも、乱打戦にもすることができる。そのさじ加減ひとつで、いかようにもグラウンド内をコントロールできる立場にあるわけだが、その審判たちの演出に今季、大きな変化があった。
昨年までと比べて、明らかにストライクゾーンが広がったのだ。これまでなら「ボール」と判定していた際どい球にことごとく「ストライク」と手を上げる。阪神マートンら判定にナーバスな選手が怒りをあらわにするシーンが散見されたのもそのためだ。特に右打者の外角は米大リーグ並み、昨年よりボール半個か1個は広くなった印象を選手は持ったのではないか。
脚本を書いたのは、コミッショナーだろうと思う。今季は開幕前からコミッショナーが試合時間短縮の大号令。スピードアップを実現するのに、最も効果的なのがストライクゾーンを広げることだ。これは私の持論で、かねてそう主張してきた。だから、今季の「脚本・演出」には大賛成だった。実際、昨季は3時間17分だった平均試合時間は今年、4月30日終了時点でセが3時間6分、パが3時間9分と一定の成果も出ていた。