インパクト時のフェース向きは打点位置の影響も非常に大きい
この30年でゴルフクラブは劇的に進化したが、その進化に大きく貢献しているのが、弾道計測器と高速度カメラだ。
インパクトの瞬間は1万分の5秒の世界であるが、この2つの機器によってインパクトが数値化され、画像で確認できるようになり、クラブ開発しやすくなったのである。
今どきの高速度カメラは1秒間に1000コマ撮影できるが、これでインパクトゾーンを分析すると、ヘッドの軌道、打点位置、ボールが打ち出される方向、曲がり方(スピン)が視覚化される。
例えばボールの打ち出し方向。かつては、ボールはクラブを振った方向に飛び出すといわれていたが、これは間違いだった。高速度カメラで観察すると、ボールはインパクト時のフェース向きにほぼ打ち出されるのが確認できる。ヘッドの軌道に関係なく、インパクトでフェースが開けば右に飛び出し、フェースが閉じればボールは左に飛び出すのである。そしてスライスするのも、フックするのもフェース向きが強く影響するのだ。
打点位置もボールが飛び出す方向に強い影響を与える。例えば、フェースが真っすぐな状態でも、打点位置がヒール側にズレると、インパクトの衝撃でヘッドは反時計回りに回転してボールは左に飛び出す。