高橋由に「原野球の継承」を押しつける巨人に権藤博氏が苦言
コラム【権藤博の流儀】
巨人が来季の監督として高橋由伸(40)に白羽の矢を立てた。
理由はいろいろとあるのだろうが、球団幹部が盛んに強調しているのは「原野球を継承してくれること」である。
確かに、退任の決まった原監督(57)が残した功績は、これはもう素晴らしいの一言に尽きる。
計12年の監督生活でリーグ優勝7度、日本一が3度。Bクラスが1度だけという成績は、過去の大監督と比べても決して見劣りせず、「名将」と呼ぶにふさわしい。
巨人は常に豊富な戦力を誇る球団。勝って当たり前、という声があったのは否定しないが、原監督にはその分、他球団の監督にはないプレッシャーがかかった。それをはねのけて結果を出すのは想像以上に大変なこと。そういう巨人で勝ち続けたことはむしろ、原監督の能力の高さを裏付けるものだと思う。
打順をコロコロと変えるような、選手のプライドをないがしろにしているようにも映ったここ数年のやり方には、私も何度か苦言を呈した。下位打線を打たされる阿部や村田の心中をおもんぱかったのだが、普通ならチームが内部から崩壊しかねない起用でも、選手個々には不満こそあれ、それが大きな亀裂となって表面化はしなかった。原監督の人間性がなせる業だった。