「燕進化」掲げたヤクルト 伝統の“再生工場”が連覇のカギ
昨年、14年ぶりのリーグ優勝を果たしたヤクルトは、新チームスローガンを「燕進化」とした。選手のみならず、首脳陣も進化することでさらなる強固なチームをつくりたいというわけだ。
今年は指導力が問われる年になるだろう。成瀬、大引をFAで獲得した昨年とは打って変わり、このオフはデイビーズ(前ヤンキース)ら助っ人投手を3人、前オリックスの坂口、前日本ハムの鵜久森という戦力外選手の補強にとどまった。
そこで注目されるのがヤクルト伝統の「再生工場」。過去には田畑一也、前田浩継、入来智、小早川毅彦、鈴木健といった選手がヤクルト入団後に活躍した。坂口、鵜久森はもちろん、生え抜きを含めた投手の「再生」もポイントになる。
メジャー移籍した抑えのバーネットの後釜づくりに加え、先発ローテの強化も課題。現状では、小川、石川、館山が確定しているが、4番手以降は新外国人のデイビーズ、杉浦、山中、成瀬らの争いになる。ヤクルトOBが言う。
「昨年と同様、二軍からの“復活組”がいかに出てくるかだろう。昨年は、館山が6勝、山中が6勝、新垣が3勝で計15勝を挙げ、優勝をアシストした。実績のある館山は別格としても、再生の象徴は山中だ。開幕当初は全く構想外だったが、リリース時に重心が後ろに残って、腕で投げ上げるようなフォームを改善。二軍の成本投手コーチから、山中自身も尊敬する同じ下手投げの渡辺俊のフォームを参考に、『前足に体重を乗せ、なるべく打者寄りの位置でボールをリリースし、その際の手をスムーズに前に出したらどうか』とのアドバイスを受け、コツを掴んだようだ。山中に続く再生という点では、今は二軍暮らしが続いているが、10年に揃って2ケタ勝利を挙げた村中、育成契約で再スタートした由規あたりが這い上がって戻ってくれば面白い」
2人は2月からのキャンプは二軍スタートが濃厚だが、“再生”の象徴になればリーグ連覇に近づく。