男子100m平は代表ゼロ 厳格選考崩さない日本水連の自信
厳しい結果だった。
5大会連続の五輪出場を狙った北島康介(33)は、100メートル平泳ぎ決勝で59秒93の2位。準決勝では、北島1人だけ突破した派遣標準記録(59秒63)をクリアできず、この種目での代表入りは逃した。タイムについての感想を聞かれた北島は「ハー」とひと息ついてから「イヤー……言葉にならないですね」と、どうにか声を絞りだし、こう続けた。
「この緊張感を味方につけられず力を発揮できなかったのは自分のせい。気持ちを切り替えて200メートル(7日予選、8日決勝)で代表権を取れるように頑張ります」
北島が北京五輪の同種目で連覇を成し遂げた時、「何も言えねえ……」と吠えたシーンは多くの人の脳裏に焼きついている。平泳ぎの元王者は今回、派遣記録に0秒3届かず代表入りを逃したが、北島以上に悔しい思いをしたのは、3連覇した小関也朱篤(24)だろう。59秒66の優勝タイムは、派遣標準記録にたった100分の3秒届かなかった。つまり、リオ五輪男子100メートル平泳ぎの日本代表はゼロということになる。
日本水泳連盟の選考基準には賛否あるものの、メダルが狙えるレベルの派遣標準記録を厳守することが、前回のロンドンで史上最多の11個のメダルとなったことは否定できない。男子マラソンの“大甘選考”とは大違いだ。