単打2本で1得点 “韋駄天”オコエが楽天の攻撃を変えた
足だけでスタンドを沸かせる選手も珍しい。
楽天のオコエは1点リードの九回。先頭打者で打席に入ると、3番手・佐藤達がフルカウントから投じた真ん中低めの直球を右前へはじき返した。並の打者ならシングルヒットだが、オコエは躊躇することなく一塁ベースを蹴り、二塁に滑り込み楽々セーフ。続く岡島の中前打で生還した。普通なら単打2本で一、二塁か、もしくは一、三塁のケースで、得点できるのは大きい。それまで3タコでいいところがなかった高卒ルーキーも、1本のヒットと脚力でチームの勝利に貢献した。
陸上短距離のケンブリッジ飛鳥やサニブラウン、女子テニスの大坂なおみら、今のスポーツ界はハーフの選手が旬だ。
「50メートル5秒9で走るオコエの父もナイジェリア人。ダイヤモンドを走らせたら、おそらく100メートルの桐生(祥秀)より速いんじゃないか」という球団OBの声も、あながち笑い飛ばせるものではない。
オコエは常に何かやってくれそうなワクワク感を抱かせる選手だ。9番・中堅でスタメン起用されながら最近のバットはさっぱり。24日にリーグ戦が再開してからの5試合も13打数2安打。通算打率は2割にも満たない(.193=29日現在)。
しかし、若手は実戦で使わなければ成長しない。梨田監督がどこまで辛抱できるかに、オコエの今後はかかっている。