切り札を無駄遣い G由伸監督の“チグハグ采配”に疑問の声
「慎重というより臆病なんじゃないか」
巨人の周辺でそんな声が上がっている。クビをかしげられているのは高橋由伸監督(41)で、その象徴例が鈴木尚広の使い方だ。「この日(18日)の阪神戦もそうです」と他球団スコアラー。1-1で迎えた九回無死一塁で代走に起用された場面を振り返り、
「切り札の鈴木を使いながら、打席の坂本が2球目を強振して遊ゴロ。鈴木の俊足が相手のフィルダースチョイスを誘って一、二塁と好機が広がったものの、今季は鈴木を代走に送っても、ベンチが打者にバントやエンドランをやらせるケースがやたらと多い。鈴木はどんなにマークされていても高い確率でスチールを成功させるからこそ切り札なのに、そういう使い方をしない。この日も一、二塁になって4番の長野にバントをさせたり、それがうまくいかないと見るやようやく鈴木が三盗のスタートを切るなどチグハグですよね。鈴木に盗塁させ3、4、5番で勝負という方がよっぽど相手はイヤだと思うんですけどね」
と、言うのだ。
長野が凡退後、5番・阿部の適時打で鈴木が決勝のホームを踏んだとはいえ、確かに前半戦から「切り札の無駄遣い」という声がチーム内にもあった。今季、鈴木はこの日で23試合に代走出場しながら、盗塁はわずかに4。成功率はさすがの10割だが、「だから余計になんで走らせないの?」という疑問があちこちから出ているわけだ。
試合後、勝率を5割に戻した高橋監督は「急には(貯金は)増えないので、とにかく一個ずつ増やしていくしかないですね」と話したが、鈴木の不可解な起用が指揮官の臆病さに起因するものだとすれば、10ゲーム差で広島を追うチームになかなか勢いはつきそうにない。