よぎるメークドラマ 今の巨人は再現不可能これだけの理由
「96年はメークドラマで11.5ゲーム差をひっくり返した。あの時に比べたら、まだ広島の背中は見えている」
巨人球団関係者のセリフである。
首位の広島がヤクルトを下して32年ぶりの11連勝を達成した昨29日、2位の巨人も中日に逆転勝利。両者の間には依然として9ゲームの大差が広がっているものの、「確かに今の広島は強い。ただ、96年だってこの時期には広島が7月以降に29勝35敗と失速するとは誰も予想していなかった。25年ぶりの優勝と周りが騒げば騒ぐほど、向こうにはプレッシャーもかかる」と当時を知る冒頭の関係者は言うのだ。
が、中日の守護神で今季開幕から31試合連続無失点の日本記録を樹立した田島慎二は、「今年の広島打線は本当に手ごわいです」とこう言った。
「チーム全体で統一しているか分かりませんが、昨年までは振ってくれた低めのボール球になる変化球を、今年はことごとく見切られる。各打者がみんな逆方向を意識しているように感じます。ポイントを近くして待っているから、落ちる球にバットが止まる。そうなると、ストライクゾーンで勝負しないといけない。凄く厄介です」