男子三段跳びで金 “記録男”C・テーラーの次なる野望
リオ五輪陸上男子三段跳び決勝で、ロンドン五輪王者のクリスチャン・テーラー(26=米国)が連覇で金メダルを獲得した。
1回目の跳躍で流れは決まった。落ち着いた様子で登場したテーラーは、いきなり今季世界最高の17メートル86をマーク。1回目で自己ベストの17メートル76を跳んだウィル・クレイ(25=米国)との米国同士の一騎打ちを制した。
テーラーはジョージア州生まれ。陸上で頭角を現し、走り幅跳び、三段跳び、400メートルで高校記録を次々に塗り替え、ユース世代のタイトルを数多く手にした。フロリダの大学に進み、10年、11年国内王者。11年の世界選手権(韓国・大邱)で17メートル96で金メダルを取り、当時21歳だったテーラーはその名を世界に知らしめた。翌年のロンドン五輪でも頂点に立ったが、その後はいばらの道だった。
古傷のひざのケガを悪化させ、踏み切り足の変更を余儀なくされる。踏み切り足は跳躍技術の最も核心部分。三段跳びのアスリートにとっては苦渋の決断だった。
困難を乗り越えてのリオの金メダルなのだが、テーラーの目線はその先だ。95年にジョナサン・エドワーズ(英)が出した18メートル29が現在の世界記録。昨年の世界選手権でその記録までわずか8センチの18メートル21を跳んだ。五輪前には「世界記録は視界にある」と言っていたが、リオでは43センチ及ばなかった。
試合後、テーラーはこう言った。
「世界記録を狙ったが、できなかった。これからはもっと“催促”し続けるよ。時間がかかってもね」
テーラーならやってくれそうだ。