育成重視どこへ? 阪神“札束攻勢”でオリFA糸井獲りの愚
■日本シリーズVのハムとは正反対
FA選手に目の色を変えているのはオリックスや阪神に限らない。
31日、西武プリンスドームを訪れた岸(31=年俸2億2500万円)には、楽天が「3年12億円」の条件を用意しているらしい。FA移籍が確実視されるDeNAの山口(29=年俸8000万円)も、巨人をはじめとする複数球団が獲得に動くといわれる。日本ハムの陽(29=年俸1億6000万円)も移籍が濃厚で、手を挙げたとたん外野手不足の球団が待ってましたと飛び付くに違いない。
今オフ、FA選手をめぐって日本中で大金が飛び交うのは確実だ。
「ドラフトと育成を2本柱にする日本ハムは他球団とまったく逆のチームづくりをしています」と、さる日本ハムOBがこう続ける。
「ドラフトで獲得した選手を主にファームの実戦で鍛え、できるだけ早い時期に一軍で使う。ファームで結果を出せる選手は基本的に、一軍でも通用すると判断しているのです。エネルギッシュな若手を躍動させるためには、チームの活性化が不可欠。ときには強引にポジションに穴をあけてでも若手の成長を促す。なのでトレードやFAは補強というより、新陳代謝を図る手段として利用している。かつては実績あるベテランのFA選手を構想外にしたこともあるほど。もっともクビでは体裁が悪いので、FA宣言させて移籍という形を取りましたけどね」
日本ハムはそうやって過去10年で4回リーグ優勝。今年はリーグ優勝に加えて、日本一にもなった。わざわざ大金を使って「不良債権」になる可能性のある選手を奪い合う他球団を嘲笑しているに違いない。