巨人FA移籍1年目の開幕直前“決起集会” 由伸からの贈り物
この年、由伸は当時の原監督の構想で1番で起用されることが決まっていた。開幕戦は敵地・横浜スタジアムでの横浜戦。開幕投手は「番長」こと三浦大輔である。この時、「天才」といわれる由伸は人知れず悩んでいた。開幕してまず最初に打席に立つのは、ビジターチームの1番打者。由伸が両チームの選手の中で一番早く打席に立つ。開幕直前、ボクは由伸にこう言われた。
「門倉さん、今年は緊張してます。こんなに緊張感がある開幕は初めてです」
「大丈夫だよ。由伸なら打てるって」
由伸は「1番」という打順に緊張していた。具体的には「1打席目の初球に何を打つか」に懸けていた。三浦が開幕戦の初球に何を投げ込んでくるか。最終的に投手の心理を考えたという。
「真っすぐはそんなに速くない。アウトコースの直球はない」
「フォークボール? そんなに自信を持っている球ではない」
「初球から緩いカーブ?いや、ないな」
そして、たどり着いたのが「外角へのスライダー」だった。