全勝ターンも余裕なく 白鵬が抱える稀勢の里への“嫉妬心”
かつてのような圧倒的な強さは、今の白鵬にはない。それは事実にせよ、今場所の白鵬にはどこか気がせいているようにみえる。ある親方が言う。
「ここ1年間、優勝から遠ざかり、帰化せずに親方になる道も閉ざされかけている。抱えている焦りは多々あるが、中でも大きいのは稀勢の里(30)に対する嫉妬心でしょう。白鵬には歴代最多の優勝37回という自負がある。それが日本人の稀勢の里が2回優勝しただけで主役交代。相撲協会もファンも和製横綱の方ばかり見ているのだから、白鵬が面白くないのも当然。このまま優勝を逃し続ければ、稀勢の里の陰に隠れたまま、フェードアウトしかねない。今は『賜杯を抱くためなら何でもしてやろう』という気持ちでしょう」
白鵬が稀勢の里を意識しているのは明らか。場所前は稽古を断られたことに「(負傷している左が)完全でないのは明らか」と分析すれば、今場所5日目も「うまく体勢をつくったね」と、稀勢の里の相撲を論評していた。いかにライバルが気になっているか、語らずとも白鵬自身の態度が如実に物語っている。
どんな手段を駆使してでも、稀勢の里との差を見せつけたい白鵬。直接対決が見ものだ。