千代大龍が持つ伝家の宝刀「明月院スペシャル」
「大学相撲は一発勝負のトーナメント制。そのため大卒力士は引き技や奇襲に頼る癖があり、千代大龍も例外ではなかった。千代の富士は、何とかその癖を修正しようと苦労していた。直接叱り飛ばすと本人がいじけてしまうため、メディアを通じて『相撲を舐めてる』などボロクソに酷評。一方、部屋の稽古ではきちんと褒めるなど、アメとムチを使い分けていた」(前出の関係者)
ただ、千代大龍が相撲に打ち込めなかったのも無理はない。本来、初土俵を踏むはずだった11年3月場所は、八百長騒動の余波で中止。技量審査場所となった5月にデビューした。当時は角界が八百長問題で揺れていたこともあり、本人が「プロ入りは間違っていたんじゃ……?」と思ったのも責められまい。
もともと、プロでやっていく自信がないところを千代の富士に説得され、入門後は稽古嫌いと甘いもの好きがたたって糖尿病を発症。網膜剥離、緑内障、両足血行障害とさまざまな病気に悩まされた。
一時期は平幕と十両を行ったり来たりだったが、今場所は幕内上位。ここから巻き返せるか。 (水・金曜掲載)