今季わずか5勝のロッテ涌井に“メジャー”の文字が躍る理由
ついに動きを見せた。
FA権を再取得したロッテの涌井秀章(31)が、夢だったメジャー挑戦の準備段階として、チームの秋季練習期間中に始まるワールドシリーズを“視察”しに渡米するという。
今季の涌井は5勝11敗、防御率3.99。お世辞にも褒められる数字ではない。53与四球(リーグワースト3位)と制球難も目立ち、7月には右足をつって緊急降板するアクシデントもあった。冴えない成績に、球界では「今季の成績でメジャー挑戦は無謀。好条件でオファーされる可能性は低い」という見方がほとんど。大リーグで評価のひとつとなる奪三振率(完投した場合の平均奪三振数)も、楽天の則本や西武の菊池が10を超えるのに対し、涌井は6.55しかない。
それなのに、なぜ涌井はメジャー移籍に色気を持っているのか。理由のひとつは、涌井がアテにする「宣言残留」だ。そもそもロッテは、カネのかかる宣言残留を認めない球団だったが、15年オフに“潮目”が変わった。
ロッテ一筋14年の今江がFA権を行使して楽天に移籍。1年前の14年オフにはエース左腕だった成瀬がヤクルトに流出したこともあり、当時、選手会長を務めていた岡田幸文が契約更改の場で「個人的にどうかと思う」と苦言を呈した。「生え抜きに冷たい」という声が大きくなり、昨年から残留OKに方針転換した経緯がある。