W杯まで4カ月 サッカー界の論客がハリル監督を徹底検証
■「今は策士と信じたい」
――ハリルで「正解だった」と思う部分は?
鈴木「あえて言うと『W杯本大会を経験している』という部分でしょう」
六川「ザックはセリエAでミラン、インテル、ユベントスと名門で監督経験があり、修羅場をくぐり抜けてきたという触れ込みでしたが、W杯独特の緊張感にのみ込まれてしまいました」
鈴木「14年ブラジルW杯でアルジェリアを率いたハリルは、決勝トーナメント1回戦で、優勝したドイツを相手に大善戦。非常に感動的な試合を見せてくれた。しかし、アルジェリア選手のフィジカルとスピードをベースにして結果を出したサッカーが、日本で再構築できるとは思えない。たとえば1トップは、どのエリアまで戻って守備をするのか? 守勢に回った時、攻勢に出た時のサイドMFの立ち位置はどこか? そうした戦術の細部が見えてこない。不安は尽きない」
六川「17年12月の東アジア選手権で韓国に大敗を喫しました。国内組で臨んだ大会でしたが、選手選考の根拠は何か? 試合運びは適切だったのか? 交代は理にかなっていたか? ハーフタイムに具体的な指示を送ったか? など疑問符だらけでした。半年後のロシアW杯を見据えて手の内を隠し、W杯本大会の相手を油断させるために行き当たりばったりのサッカーを“わざと”展開したとするならば、これほどの知将はいない。今は策士と信じたいと思います」