女子フィギュア金銀独占 ロシアコーチ「鉄の女」の素顔
やっぱり歯が立たなかった。
23日のフィギュア女子フリー(FS)でザギトワ(15)が金メダル、メドべージェワ(18)が銀メダルを獲得。OAR(ロシア)が金・銀のダブル表彰台となった。
21日のショートプログラム(SP)で世界最高得点を相次いで塗り替え、この日のFSでともに156・65点を叩き出して圧倒的な強さを見せつけたこの2人は同門。コーチはエテリ・トゥトベリゼ氏(44)だ。別名「鉄の女」。自主性を重んじる一方、リンクで1時間半のノンストップ練習を課し、選手をほとんど褒めないスパルタ教育から、そう呼ばれている。
「練習では150%、本番では110%」がモットー。公式練習ではプログラムにない5連続の3回転や助走なしの3回転ジャンプを跳ばせ、「練習で3連続を跳べば、本番で2連続を成功させるのは簡単になる」という意識を植え付けている。女子の教え子の中には4回転を跳べる選手もいるという。
エテリ組の拠点はモスクワにある練習場。ここで選手はスケート漬けの毎日を送る。スケート場は「サイボーグ養成所」と揶揄され、「ここに入ると、日本でいう義務教育もまともに受けず、勉強は家庭教師でカバーする。スケート仲間と親やコーチとだけの関係がずっと続き、社会性のない人間が育つ。厳しい練習で精神的、肉体的に破綻する選手も出てくる」(フィギュア関係者)という否定的な意見も。そんな批判の声を聞いても、エテリ氏はリンクを「工場」、選手を「原材料」と言い切るという。厳しい環境に耐え切れず、リプニツカヤ(19)やボロノフ(30)など、決別した選手も少なくない。