DeNAラミレス監督に聞いた “助っ人指揮官”の指導哲学
昨季話題だった「8番・ピッチャー」の真意
今季、先発ローテーションに左腕4人を起用する異例の構想を示唆しているラミレス監督の用兵、采配はオリジナリティーに富んでいる。昨季、「9番・投手」のセオリーを打破して貫徹してきた「8番・投手」という打順もそうだ。
――セオリーは重視しない?
「日本には野球の伝統があるので、全部を変えようというのはなかったですが、例えば『8番ピッチャー』は必然だった。9番に置いた倉本(寿彦)はクラッチヒッターでチャンスに強く、7番に梶谷という足の速い選手を使えるからです。多くのセ・リーグチームは8番キャッチャー、9番ピッチャーですが、キャッチャーで足の速い選手はあまりいないので、ピッチャーがバントをするとダブルプレーになる確率が高い。それよりはピッチャーの前に足の速い選手を置いてピッチャーがバントした方が得点効率が上がるという数字が出ているのです。7番に足が速い選手を置くと、投手がバントしても(出塁した7番打者が)セーフになるケースが多く、必然的にチャンスが広がる。他のチームと違うことをやろうと思ったのではなくて、そういったデータを分析した結果、『8番ピッチャー』が最善だったということです」
■「伝わる順番」を特に大事に
――巨人の高橋監督も、本格的な指導者経験がないままラミレス監督と同じ2016年に一軍監督就任。しかし、ここまで結果を残せていない(16年は2位でCSファーストステージ敗退、17年は4位)。どう見ているか。
「なかなか結果が伴わなかったりもしていますが、彼は優秀なので、時間をかければ結果は出ると思う。マギーを2番に置いていることなどは良い戦略だなと思います。日本の野球が変わってきているという部分をすごく分かっていると思います。昨シーズン途中、負けが続く期間がありながらも、チームが一気に向上して貯金4で終えることができたひとつの要因ともいえます。私がピッチャーを8番で起用しているのと同じような感じで、チームで一番良い打者を2番に置くことで結果を出していると思います」
――監督に必要なものとは。
「監督は“自分は選手ではない”ということをしっかりと理解するべきだと思います。それから、選手の長所と短所をしっかりと理解して、選手の持っているポテンシャルを最大限に引き出すことだと思う。あとはコミュニケーションですね。重要なポイントは、『選手がこんなことを言っていた』とか『チームがこんなことをやるんだ』というのをメディアなどから知るのではなく、まず最初に選手に伝えてから、という『伝わる順番』を特に大事にしています」
(聞き手=中西悠子/日刊ゲンダイ)