栄本部長辞任でも 日本女子レスリング東京五輪安泰の理由
■ここ数年は指導実績なし
栄氏は伊調の他にも、五輪3連覇の吉田沙保里(35)ら、多くの五輪金メダリストを育成した名指導者。今回のパワハラ騒動で辞任は当然にせよ、日本のお家芸としてメダル量産を目指す20年東京五輪に暗い影を落としかねない、と懸念する声もある。
しかし、ある協会関係者は「選手への影響は少ないでしょう」と、こう続ける。
「栄さんは協会の要職に就いていることもあり、監督を務める至学館大レスリング部ではここ数年、実技指導はほとんどしていないと聞いています。同大レスリング部で、実際に選手の指導にあたっているのは軽、中、重の各階級の担当コーチ。選手が国際試合に出場する際には担当のコーチが同行し、セコンドにも付いてアドバイスを送っている。至学館以外の選手が代表入りしても、同様に所属先のコーチがいるため、支障はありません」
それを裏付けるかのように、国別対抗の団体戦で行われた3月のW杯(高崎)では、心身の不調を理由に休養した栄氏に代わって笹山秀雄監督代行が指揮を執り日本は危なげなく4連覇を達成した。現状、各階級とも日本女子の実力は抜きんでており、ピーキングさえ誤らなければ、確実に表彰台を狙える選手が揃っている。栄氏抜きでも世界と互角以上に渡り合えるのだ。
過去の五輪では金メダルを獲得した教え子に、マット上で投げ飛ばされてきた栄氏。東京五輪であのスキンヘッドがマットにあおむけになることはなさそうだ。