制球難で片づけてはいけない 松坂の「四球を出す勇気」
らしい投球だった。30日のオリックスとの交流戦で6回1安打無失点の好投を見せた中日の松坂大輔(37)。
9三振を奪う一方で、初回に26球を費やすなど球数は114球に達した。ボールが先行する場面が多く、与えた四球は4。そこに焦点を当てれば、この日の好投にも「不安定ながら」とか「制球に苦しみながらも」という枕ことばが必要になるのかもしれない。今季の初登板以来、同じような内容が続いているのは確かだ。
だが、これこそ怪物松坂の長所のひとつだと私は思っている。普通の投手は、できるだけ球数を減らそうと考える。四球ももちろんそうで、「歩かせるくらいだったら打たれろ!」と叱責するコーチも珍しくない。
松坂はそういうことには無頓着だ。象徴的だったのが、今季初勝利を挙げた4月30日のDeNA戦である。初回に3点の援護をもらったこの試合で、松坂は四回まで4四死球を与えながらも無失点ピッチング。そして五回に安打と2四球で2死満塁のピンチを招いた。打席には昨季の首位打者で5番の宮崎。その宮崎に押し出し四球を与えて1点を失うのだが、試合後の本人のコメントがふるっていた。