お互いをライバル視…一筋縄ではいかない新人選手の契約金
「おまえさぁ、何年、この仕事してんだ。そんなもん、簡単じゃねーか」って、部長はこう続けた。
「とにかく早いとこ契約を済ませてしまうこった。向こうより先に終わらせちまえば、後で何とでもなるじゃねーか。球団によって評価が違うのは当たり前とか、カネは入ってから稼ぐものとか、いくらでも言いようがあるだろう」
確かに4位に6000万円で契約された後に、ウチは3位だけど5000万円ですとは言いづらいけど、ウチが先にサインさせてしまえば手間は省ける。さっさと契約を済ませたうえに結果として順位に応じた契約金でホッとしたが、そんな話を思い出したのは、今年も似たようなケースがあったからだ。
例えば大阪桐蔭の投手2人。3番手投手の横川が巨人の4位指名で、エースの柿木が日本ハムの5位。その柿木はドラフト後、「(大阪桐蔭の根尾、藤原を含めた)他の3人には絶対に負けたくない」と言った。まさか日本ハムの5位の契約金が巨人の4位を上回るとは思えないけど、甲子園で春夏連覇したチームのエースはプライドも高そうだ。横川と柿木の契約金がどうなるか、日本ハムの4位が横川で巨人の5位が柿木だったらどうだったか、オレにはまったく関係ないこととはいえ、そんなことを考えた。
(プロ野球覆面スカウト)