初Vの貴景勝 元師匠との本当の仲と大関・横綱とりの勝算
初の賜杯を手に、アタマをよぎったのは誰の顔だったか。大関高安(28)と小結貴景勝(22)、2敗で千秋楽を迎えた両者はいずれも優勝経験なし。どちらが勝っても初Vの11月場所は、貴景勝に軍配が上がった。
まずは貴景勝が錦木と対戦。立ち合いで待ったをかけられたからか、普段の低い位置からの突進は鳴りを潜め、「あわや」という場面もあった。それでも冷静にはたき込んで錦木を撃破。この時点で、高安が負ければ貴景勝の優勝、高安が勝てば優勝決定戦という展開になった。
しかし、高安は結びの一番で御嶽海に不覚をとり、まさかの黒星。この瞬間に貴景勝の優勝が決まった。22歳での初Vは年6場所制となった1958年以降、6番目の若さ。初土俵から所要26場所も、曙に並ぶ4位タイのスピードだ。
「場所前から、すごくいい稽古ができた。新しい部屋でも一生懸命頑張れた」
と話した貴景勝は、9月場所直後に千賀ノ浦部屋に移籍。貴乃花の大ファンだった父と二人三脚で力士を志し、埼玉栄高卒業後は貴乃花部屋に入門した。本名の「佐藤貴信」も、「貴」の一文字は貴乃花からもらったもの。しこ名も師匠が尊敬する戦国武将・上杉謙信の後継者である上杉景勝が由来とあれば、いかに貴乃花に期待されていたかもわかる。