初Vの貴景勝 元師匠との本当の仲と大関・横綱とりの勝算
旧貴乃花部屋の力士たちは以前から、「他の部屋に移籍したい」と周囲にこぼしていたという。「稽古場に来ないくせにエラソーなことを言って……」と師匠批判をするのがいるかと思えば、力士が年長の付け人を血だらけにする部屋の暴力体質に嫌気が差す者もいた。何より、協会執行部に執拗に刃を向け続ける師匠のもとで稽古に集中しろという方が無理な相談だろう。貴景勝に限った話ではないが、貴乃花への憧れは、いつしか落胆、そして憎しみへと変化したのではないか。要するに元師匠の廃業は何よりのプラス材料になった、相撲に集中できる環境が整ったのだ。
今回の優勝によって貴景勝が来場所、関脇に昇進するのは確実。それなら今後、大関、横綱まで突っ走れるのか。
「大関には多分、なれるでしょう」と、評論家の中澤潔氏がこう言った。
「いまの上位陣に貴景勝のような突進型の力士がいないことは大きな武器になります。しかも貴景勝には迷いがない。しっかりと自分の相撲を取った上で優勝しましたからね。小結以上の力士10人のうち、5人が休場した今場所が象徴するように、いまの上位陣はとにかくだらしがない。白鵬や鶴竜にしても下り坂だし、稀勢の里は体が大きいだけでしょう。そういった現状を踏まえても大関までは行くと思いますね」