JOC後任会長の最有力 山下泰裕氏の評判と“先祖返り”懸念
普段は金メダリストとしてのおごりはみじんもない。それどころか、13年の一連の全柔連の不祥事の際は自ら泥をかぶった。日本スポーツ振興センター(JSC)からの指導者向け助成金不正受給問題の後始末では、当時、全柔連理事を務めていたロス、ソウル金メダルの斉藤仁氏(故人)とともに、指導者に電話して返金を求めるなど、回収に奔走した。社会貢献活動にも積極的に関わっており、全国各地の少年院での講演をライフワークにしている。組織を束ねるトップとしての評判も決して悪いものではない。山下氏を現役時代から取材する柔道ジャーナリストの木村秀和氏が言う。
「自分の意見を一方的に押し付けるのではなく、他者の話を聞いて、調和しながら意見を集約して物事を進めていくのがうまい。話し好きな性格で、政財界の大物にかわいがられており、一連の全柔連の不祥事で引責辞任した上村春樹前会長に代わって宗岡正二新日鉄住金会長が就任したのも、山下氏の人脈です」
03年に国際柔道連盟(IJF)の理事に就任してからは、独学で語学習得に励んだ。国際大会などでは英語でスピーチしている。