“幻の日本vsブラジル戦”を追って 南部ポルト・アレグレへ
その“幻のブラジル戦”の会場「アレーナ・ド・グレミオ」の報道受付には、日本代表を追い掛けてやって来るはずだった記者や撮影者の姿は数えるほど。事前申請していた日本報道向けチケットの多くが残されていたのを目の当たりにした。
試合開始2時間前、チケット保持者のみ越えられるセキュリティーラインの外へと足を踏み入れた。
旋回する警察ヘリが強烈なライト光線で辺りを照らす光景は、まるでハリウッド映画さながら。いやが上にも緊張感を煽られた。
またその領域で余程日本人が珍しかったのだろうか、いかつい風貌のガウーショ(※)の眼力に圧倒されたことは言うまでもないが、裏腹に彼らの心は実に温かいものだと感じ取った。金品をすられる怖さから携帯電話以外は持たないで徘徊していた私に、目の前で焼いているシュハスコを振舞ってくれるというではないか。そして肉にはビールだ! と注いでくれようとするのだが、さすがに赤ら顔をして記者席に戻ることは出来ないーーと、飲みたい気持ちをグッと抑えながら敬意をもってお断りをした。