96年11.5差逆転された広島OB 巨人の独走止めるヒント伝授
■「結束を高めよう」と頻繁に食事会
チームは内部分裂状態に陥った。8月に入ると、4番の江藤が打球を顔面に受け、眼底骨折で離脱。勝負どころで故障者が出始め、いよいよ巨人の影が迫ってきた。
「この頃、三村監督が『結束を高めよう』と首脳陣、選手、裏方を集め、頻繁に食事会を開くようになりました。それまであまりなかったことで、監督の変化を『焦り』と受け取った関係者は多かったと思います」と述懐する川端氏は、「あの年のカープと今年の巨人が似ているんです」とこう言った。
「巨人は坂本、丸を中心とした破壊力抜群の打線(チーム打率.262、107本塁打、389得点は全てリーグトップ)が牽引しています。一方で投手陣は必ずしも盤石ではありません(チーム防御率3.56で同3位)。あの年同様、エースが苦しんでいて(菅野=8勝4敗、防御率3.92)、リリーフ陣もやりくりしながら何とかしのいでいるという打高投低のチーム状況が酷似しています。原監督は厳しい采配で前半戦を戦いましたが、後半戦で不調の菅野をどうするか、となった時、シビアな判断ができるか。優勝するためには、一軍で戦える投手が15、16人は必要。しかし、巨人は駒が足りていないようにみえる。これは夏場に落ちてくる可能性があるということです」
独走しているからこそ、一度歯車が狂うとチームがギクシャクすることがあるという。他球団は諦めず、巨人包囲網を敷くことだ。