雄星メジャー初完封も 2段モーションの欠陥浮き彫りの皮肉
ルーキー左腕が、ようやく結果を残した。
18日(日本時間19日)のブルージェイズ戦で、メジャー初完封をマークしたマリナーズ・菊池雄星(28)。若くて生きのいいパワーヒッターが連なる相手打線を96球で料理し、「マダックス」(100球以内の完封)を成し遂げた。
菊池が試合後に「直球が課題だったが、きょうはコースも良かったし、カウントも取れた」と振り返った通り、これまでスタンドに運ばれてきた高めの直球で空振りを奪うなど、別人のような投球だった。「九回までいけて、やっとチームに貢献できた。ほっとしている」と安堵の表情を見せたが、皮肉なことに、改めて欠陥が浮き彫りになった。
スカパー・Jスポーツで、この試合の解説を務めた評論家の三井浩二氏が「すべてクイックモーションで投げたことが効果的でした」とこう続ける。
「腕の振りがスムーズになり、直球、変化球で、相手打者のタイミングを外す投球ができていました。決め球のスライダーにしても、打ち込まれていた時は横滑りしていましたが、斜め45度に変化する本来のものになっていた。直球は144キロから148キロ程度でも、高めで相手打者のバットに空を切らせたのは、それだけキレが良かったからです。これまでの2段モーションは相手打者にとってはタイミングが取りやすかった。今季序盤こそ、球威はあったが、最近では疲れからか、足を上げると、下半身の粘りが利かず、腕の振りも鈍くなって球が走らず、変化球の制球を乱していました。テンポも悪くなり、打者にとっては最適な間だったと思います」