エディーJは長年目指してきた日本スタイルの完成形だった
林 敏之(元日本代表・59歳)
前回W杯で南アフリカに歴史的な勝利を収めたジャパンはサモア、アメリカにも勝ってトータルで3勝しました。決勝トーナメント進出はなりませんでしたがあの勝利をきっかけに国内のラグビー人気が復活したことは、人気低迷の時代を見てきた僕としては、とても喜ばしいことでした。
でも、それは一時のブームで終わってしまいました。翌2016年6月のスコットランドとの国内テストマッチ2試合が、ひとつのターニングポイントだった気がします。
あの時、僕もイベントなど盛り上げ活動に協力し、勝利を願う多くのファンのサインを集めてラグビー協会に持っていったことを覚えています。
特に調布市の味の素スタジアムで行われた第2戦はメディアが大注目した「天覧試合」でした。もしあの試合で勝っていたら――。その波及効果は何十倍にも広がっていたはず。ラグビーに対する関心も大きく違っていたように思います。
もっとも、前回W杯はラグビー人気よりも「日本らしいラグビー」を具現化してくれたという点で、とても大きな意味を持っています。エディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)がつくり上げたジャパンのラグビーは、長年にわたって日本が目指してきた<スタイルの完成形>と言えるものでした。