「スカウトは本音を言わなきゃ」部長の気遣いに救われた

公開日: 更新日:

 そいつに「だって先輩が引き合いに出したいまの4番って部長が推して取った選手でしょう。なのに、さも、自分が見つけてきたみたいに言うもんだから……」と言われて、ハタと気付いた。担当したのは確かにオレだけど、その選手は担当地区にいただけ。自分はむしろ獲得に消極的だったことを思い出したんだ。

 部長は会議でニヤニヤしながらオレの話を聞いてたけど、ホント、穴があったら入りたいって心境になった。

 後日――。部長とメシを食う機会があったんで、さすがに頭を下げた。いまの4番をさも自分が発掘したみたいな言い方をして申し訳ありませんでしたってね。

 すると部長は「そうやって物事を自分の都合のいいようにとらえて前を向くおまえの性格は悪いことじゃないんだぞ」って、ケタケタ笑いながらこう言った。

「スカウトはたいてい1年契約だ。失敗が続くとエラいさんの方ばかり見るようになり、ヘタなこと言ってまた裏目に出たらどうしよう、契約してもらえないんじゃないかって、消極的になっちまう。けれども、スカウトが本音を言わなくなったら、球団にとってはマイナスだからな」

 いつの間にか4番はオレが評価したと本気で思い込んでいた自分の性格が怖くなったが、部長の言うことを聞いて救われた気持ちになったのも事実。今度、後輩に会ったら、一度や二度の失敗なんて気にするな! 自分の意見は臆せず言わなきゃ意味がないぞって、言おうと思った。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    僕がプロ野球歴代3位「年間147打点」を叩き出した舞台裏…満塁打率6割、走者なしだと.225

  2. 2

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  3. 3

    “玉の輿”大江麻理子アナに嫉妬の嵐「バラエティーに専念を」

  4. 4

    巨人「先発6番目」争いが若手5人で熾烈!抜け出すのは恐らく…“魔改造コーチ”も太鼓判

  5. 5

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  1. 6

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 7

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  3. 8

    【独自】フジテレビ“セクハラ横行”のヤバイ実態が社内調査で判明…「性的関係迫る」16%

  4. 9

    大江麻理子アナはテレ東辞めても経済的にはへっちゃら?「夫婦で資産100億円」の超セレブ生活

  5. 10

    裏金のキーマンに「出てくるな」と旧安倍派幹部が“脅し鬼電”…参考人招致ドタキャンに自民内部からも異論噴出