コーチには2種類の人種 信用できるのは「進言」するタイプ
日刊ゲンダイ新春特別号の企画で、ラグビー日本代表スクラムコーチの長谷川慎さん、スポーツジャーナリストの二宮清純さんと鼎談、軽くビールを飲みながら3時間にわたって興味深い話をたくさん聞かせてもらった。
私は中学生時代からのラグビーファン。70年近く競技を追いかけてきた人間として、昨年のW杯での日本代表の快進撃は感慨深いものがあった。特に世界の強豪国と互角以上に渡り合ったスクラム、FW陣の奮闘には目を見張った。その強靱なスクラムをつくったのが長谷川さんだ。
現役時代はプロップ、フッカーとして活躍。今でも100キロ以上は優にあるであろう体は、目の当たりにすると物凄い迫力だが、対照的に人当たりは非常にソフトで、聡明な印象を受けた。二宮さんは長谷川さんを「スクラム技師」と称した。なるほど、果たして球界にはこれほどの理論家が何人いるかな、と思うほどだった。日本代表を率いるジェイミー・ジョセフ監督もさぞ心強かったに違いない。
コーチには、2種類の人種がいる、というのが私の持論だ。「どうしましょう派」と「こうしましょう派」で、前者には自分の意見がない。監督にお伺いを立てて、指示されたことにハイ、ハイと従うだけ。単なるイエスマンである。あなたの会社にもいるかもしれない。球界には残念ながらイエスマンを重用する監督もいるのだが、私からすれば、そんなコーチはいる意味がない。監督としては、耳に痛くとも、「こうしましょう」と進言してくるコーチの方がはるかに信用、信頼できるというのが、私の考えである。