ドイツのリーグ再開を支えた緻密な再開計画書と社会的要請
世界の主要プロスポーツリーグで初となる偉業の背景には<社会的な要請>も無関係ではない。
新型コロナのパンデミック(世界的大流行)や欧州全土でのロックダウン(都市封鎖)によってドイツ国民は精神的に疲弊し、ストレス解消のためにも生活の大きな一部であるブンデスリーガ再開を望む声は非常に大きかった。昨季のドイツ1部、2部の収益合計は5500億円。今季が再開できずに終了してしまった場合、テレビ放映権料の未払い分など860億円の減収となり、破産状態となるクラブが10前後出る――と報じたメディアもあったが、破産阻止のためにもリーグ再開は絶対的な命題だった。
欧州各国リーグの状況を見るとフランス、オランダが打ち切りを表明しているが、例えばハンガリーが23日、ポーランドが29日、ポルトガルが30日に再開を予定。イタリア、イングランド、スペインの強豪国に加えてスイス、トルコ、ロシアなどが6月中の再開に向けて動きだしている。
言うまでもないが、ドイツ以外の各国リーグ関係者はDFLの計画書を精査し、自国リーグを安定的に運営するためのバイブルとするだろう。世界中が「見えない敵」である新型コロナと戦って勝利するためにも、ドイツのリーグ再開を英断として前向きに捉えたい。