著者のコラム一覧
岡邦行ルポライター

1949年、福島県南相馬市生まれ。ルポライター。第3回報知ドキュメント大賞受賞。著書に「伊勢湾台風―水害前線の村」など。3・11後は出身地・南相馬中心に原発禍の実態を取材し続けている。近著に「南相馬少年野球団」「大島鎌吉の東京オリンピック」

欲のない純粋なテレビマンは「商業五輪」を強く批判した

公開日: 更新日:

1964年東京五輪・最終聖火ランナー 坂井義則さん(下)

 フジテレビに入社した坂井は、37年間にわたり報道部とスポーツ部に在籍。現場でオリンピックも取材している。

 パレスチナゲリラが選手村を襲いイスラエル選手11人を殺害した1972年ミュンヘン大会のときは、マイクを手に選手村に潜入取材を試みた。

「もう大ショックだった。平和の祭典であるオリンピックに政治が介入したことでね。早い話、オリンピックは政治に殺されたよね……。その後も同じ。76年のモントリオールのときは人種差別問題でアフリカ勢が参加をボイコットし、80年のモスクワの際はソ連(当時)のアフガンへの侵攻で、アメリカに従って日本も不参加。JОCも選手も政治家に逆らえず、翻弄された。今もオリンピックは政治に汚されているけどね」

 坂井は私を前に強い口調で言った。さらに金儲けの商業主義に走るオリンピックを批判した。

「84年のロス大会後は、すべてお金絡み。テレビ局に信じられない高額で放映権を売るしね。アマチュアリズムも死んだ。64年東京オリンピックの最終聖火ランナーになった際、ぼくは金品類など何も頂かなかった。組織委員会から『頼むよ』のひと言で、日の丸の付いた白いランニングシャツとシューズを頂いただけ。でも今は選手もプロ化し、スター選手になり、外国のマラソン選手のエージェントが『坂井さん、いくら出す?』なんて言ってくる」

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    自信なくされたら困るから? 巨人・田中将大がカブス戦登板「緊急回避」の裏側

  2. 2

    ニデック永守重信会長の堪忍袋の緒が切れる? 「売上高4兆円」達成に不可欠な牧野フライスの買収が難航中

  3. 3

    巨人・田中将大の早期二軍落ちに現実味…DeNA二軍の「マー君攻略法」にさえなす術なし

  4. 4

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???

  5. 5

    茨城県知事の異常な県政を朝日も毎日も報じない不思議…職員13人が自殺?重大事件じゃないか!

  1. 6

    立憲民主党の凋落は自民党以上に深刻…参院選改選組が国民民主党に露骨なスリ寄り

  2. 7

    小芝風花&松坂桃李は勝ち組、清野菜名は貧乏クジ…今期ドラマ「トップコート」所属俳優の泣き笑い

  3. 8

    阿部寛「滑舌問題」はクリアできそうだが…新日曜劇場『キャスター』で国民的俳優が試される“唯一の心配事”

  4. 9

    浜田雅功の休養の裏で着々と進む松本人志との"今夏ダウンダウン完全復帰計画"…プラットフォームに本腰

  5. 10

    誰トク?広がる地方私大の公立化…見送られた千葉科学大は「加計学園」が運営撤退も大学存続