新国立競技場は“負の遺産”へ一直線 施設維持に年間24億円
東京五輪まで1年を切った。浮かれたお祝いムードが漂っているが、目玉の五輪関連施設を巡り整備費用や維持費などの課題が山積している。建築エコノミストの森山高至氏が五輪会場を「将来性」「デザイン」「アスリート目線」「周辺との融和性」――の4項目(各25点、計100点)から評価する。
過激なデザインは実現可能なのか――。
一時は3000億円とまで予想された巨額の建設工事費だけでなく、建設実現性までが問題視された新国立競技場。計画の見直しと再コンペという前代未聞の事態を経て11月末に完成する予定だが、当時指摘された問題点が解決しているとは言い難い。
●将来性=17点
施設維持費の試算は、旧国立競技場の約7億円の3倍強に当たる年間24億円。コンサート活用だけでは到底、捻出できない金額だ。公共サービスは広く国民全体の福利厚生を目的とするものであり、必ずしも黒字化の必要はないが、このままでの財政負担は大会終了と同時に“負の遺産”確定となってしまうだろう。