大相撲が半年ぶり“有観客”も…親方衆は感染危惧し戦々恐々
実に半年ぶりの拍手が館内にこだました。
19日に初日を迎えた大相撲7月場所。新型コロナウイルスの影響により、本来行うはずの名古屋ではなく東京の国技館で3月場所以来となる本場所開催となった。
当初は無観客が前提だったものの、今回は1日につき定員1万1000人の4分の1となる2500人前後を上限とした「有観客」。普段は4人座れる升席も1人に制限した。声を出しての応援が禁止なので、観客は拍手で力士の奮闘に応えた。時折、思い出したように「頑張れー」などの声が聞こえたが、それでもプロ野球などに比べれば、声援は皆無に等しかった。
親方衆が「まだまだ手探りですよ」と話すように、4カ月ぶりの本場所、1月場所以来の有観客がもたらす困惑は小さくない。
■食べれば飲みたくなる
観客が平常時の4分の1だから、当然ながら売店の売り上げは普段ほど期待できない。販売するグッズの数も絞られ、酒類の販売は禁止。弁当や珍味などおつまみの類いはなく、アイスやジュース、名物の焼き鳥が売られているくらいだ。
「人気は新大関の朝乃山関のタオルと団扇。炎鵬関も相変わらず人気があります。売り上げはどうか? 割合はわかりませんが、それなりに下がってはいます」(グッズ販売店店員)
「焼き鳥は普段の5本入りではなく、10本入りで売っています。ただ、こんなことは初めてなので、どの食べ物や飲み物をどのくらい並べればいいのか予測できませんでした」(飲食物販売店店員)
焼き鳥を作る地下の工場は稼働。普段なら親方衆や報道陣などの関係者は、工場でも直接焼き鳥を購入できた。しかし今回は中止。「帰りがけに酒のつまみとして買っていくこともあったけど……まあ、しゃあない」とはある親方だ。
館内では、飲食はなるべく控え、飲食後はすみやかにマスクを着用するよう呼び掛けるアナウンスが再三、流れた。角界OBが言う。
「飲食をするときマスクを外すでしょう。あれで感染が広がらないかと、協会は相当、警戒している。いろいろな食べ物が売られていたら酒も飲みたくなる。館内では酒は売ってないけど持ち込む人が出てきかねない。八百長騒動直後の2011年5月の技量審査場所でも酒の販売は禁止されていたけど、こっそり持ち込んでは酔ってヤジを飛ばすお客さんがいたからね。さすがに定番の焼き鳥は外すわけにはいかなかったようだけど……」