冷や汗白星発進の新大関・正代に“守り思考”という新たな敵
狙われる立場ということを如実に表した一番だった。
8日、新大関正代(29)が前頭筆頭若隆景相手に今場所初白星。しかし、苦戦も苦戦、冷や汗ものの勝利とあれば、喜んでばかりもいられない。
「若隆景は左おっつけが得意だが、この日は右からおっつけた。これは正代の左差しを封じるためで、対策を練って臨んだ相撲です。これに正代は面食らい、懐に入られてあわやとなった。それでも土俵際の絶体絶命の体勢から突き落とせたのは、持ち前の粘りと柔らかさがあればこそだが……」(ある親方)
軍配は正代に上がるも、「同体ではないか?」と物言い。軍配通りになったとはいえ、協議を待つ間、正代は生きた心地がしなかっただろう。
誰もが緊張する新大関初土俵の初日。負けようものなら、そのままずるずるといきかねない。
もちろん、安心するのはまだ早い。大関に勝てば名を上げられるとあれば、今後はさまざまな力士のターゲットになる。多くの力士は若隆景のように、徹底的に研究をしてくるだろう。それをはね返してこその大関だ。