イチローの取材は“つまらない”と思われたらおしまいだった
イチロー(シアトル・マリナーズ球団特別補佐兼インストラクター)が久々にマスコミに登場した。11月26日の新聞大会で「スポーツ選手が持つチカラ」と題して講演。その中でイチローは「(取材する側とお互いに)高め合う関係が理想。何となく答えていたら楽だが、それでは前に進めない。僕の担当記者は大変だったでしょう」と話した。
私も何度かその場に立ち会ったが、イチローの記者会見の場は一種独特の雰囲気があった。常に緊張感が張り詰めていたからだ。イチローに「つまらない」と思われたら、まともな返事がこないことも珍しくない。「担当記者は大変」というわけである。
思い出すのが大リーグのオールスターでの会見だ。2007年(サンフランシスコ)だったと記憶している。メジャーの球宴では試合前日、出場選手が記者会見場の各自のブースに陣取り、内外の記者の質問に答えることになっている。
マリナーズのイチローはア・リーグの球宴メンバーに選出されていた。記者の多さと言葉の関係から、取材は前半が日本人記者、後半が外国人記者の二部構成で行われた。日本から取材に来た野球評論家がこう聞いた。