白髪イチローの衰えた姿に身震いするような色気を感じる
現在、日本凱旋中のイチローを見ていると、いろいろな感傷が込み上げてくる。
1994年に衝撃的な大ブレークを果たしたオリックスのイチロー、振り子打法のイチロー、200安打のイチローもすでに45歳だ。
ご承知の通り、プレーヤーとしてのイチローはとっくの昔に盛りを過ぎており、今は過去の偉大な功績に敬意を払われつつ、辛うじてマリナーズのユニホームをまとえている状態だ。白髪が目立つ頭髪、生え際の後退、少し小さくなったように見える肉体、そしてプレシーズンマッチとはいえ0割台の打率。かの天才イチローの現在地は45歳としては当然なのだが、これを寂しいと感じるファンも多いことだろう。「こんなイチローは見たくない」と言う人もいるかもしれない。
しかし、私はそんなイチローこそ見たいと思ってしまった。衰えたスーパースターの姿をこの目にじっくりと焼き付けておきたい。
かつては走攻守すべてにおいて球界のトップに君臨し、涼しい顔で何度も超人的なプレーをやってのけたイチローが、今はすっかりおじさんになって多くのスター選手がたどってきたような晩年の劣化を迎えている。これが私にはなんとも感慨深く、身震いするような色気を感じてしまう。イチローは衰えた姿にも価値があるのだ。