破天荒の原点 ブラジルで再会した恋人はお腹が膨らんで…
「現地は治安が悪く、身の危険を感じることが多かった。一番困ったのが誰が良い人か、悪い人か、分からないこと。目出し帽をかぶった3人組を見て『強盗だ』と身構えたら、ホットドッグ屋だったというケースもありましたね(苦笑い)。見分けるには言葉を覚えるしかない。そう思って友達や彼女をつくり、必死にポルトガル語をしゃべりました」
20歳までに労働ビザを取れるプロ契約を勝ち取ろうと本気で挑み、2年目には契約書にサインする寸前まで行き、トップデビューの練習試合も決まった。が、その前日に右膝前十字靱帯を断裂するという信じがたいアクシデントに見舞われる。
「全て白紙になりました。医者には『2~3週間で治る』と放置され、それでも諦め切れずに現地に残って、少年にサッカーを教えたりしたけど『なんで日本人にサッカーを教わらないといけないんだ』と不満をぶつけられたこともあった。ホント苦しい時間でしたね」
21歳で帰国を余儀なくされた1年後、安彦はさらなるショッキングな出来事に見舞われた。
恋人に会いにブラジルに行くと彼女はいつの間にか結婚し、お腹も膨らんでいたのである。